金融機関向けに事業計画書をアレンジするには


金融機関(銀行や日本政策金融公庫)の場合、融資として借入申請をする際には事業計画書が必要になる。通常は、融資申込書と一緒に事業計画を提出する。金融機関によっては事業計画書のフォーマットが決まっている場合もあるが、基本フォーマットの内容を転記するだけで十分に内容を埋めることができるだろう。

金融機関に提出する事業計画書のポイントは、財務計画の数字をきちんと描くことにある。銀行側は会社に貸付を行い、元本と利子を回収することで利益をあげているという背景がある。そのため、融資先の社長が貸したお金をきちんと返してくれるかどうかを厳しくチェックするのだ。 事業計画書の中では、まず書かれている売上数字をきちんと実現できる根拠が豊富にあるかどうか。そして経費などの中に、不明な使途金や数字上の不整合はないかを厳しく確認される。そのうえで事業計画における資金繰り予測から、期間内に元本・利子を返済できるかを検討していく。

金融機関に提出する事業計画書において、留意すべき点は以下の通りだ。

①事業の実現性の高さをきちんと説明できるようにしておくこと
具体的にはビジネスモデルの説明において、以下のような売上が計画通りにあがる理由を、なるべく多く謳っておく。

・モデルがすでに多くのリサーチやテストによって十分検証されている
・すでに大口契約の見込みが立っている
・多くの見込み客を抱えている

②売上利益計画、資金繰り計画は正しく保守的に立てておくこと
融資判断において、数字は命である。その数字が計算間違いをしていることがあれば、その時点で信用がなくなってしまうだろう。社長の数字に対する意識の高さを、売上利益計画表や資金繰り表を通じてアピールすることが大切だ。

③何のために借りたお金を使うのか、その資金使途が明確であること
金融機関は、借りたお金を具体的に何に使うのかについて高い感心を持っている。なぜなら、世の中には会社で借りたお金を個人流用したり、遊行費に当ててしまうような経営者がいるからだ。
ざっくりとした数字を事業計画書に書き、とりあえず1000万貸して欲しい…といったスタンスの経営者に、お金を貸したいと思う金融期間はいないはずである。事業計画から導き出された正しい必要資金の金額を、融資申込書の金額欄には記載すべきだろう。

④返済予定額を十分超えるだけのキャッシュフローを有していること
どんなに面白い事業計画書であっても、借りたお金を返済できなければ金融期間は融資をしない。良くあるのが、「必ず借りたお金は返します」と表現しておきながら、事業計画の数字で直近3年間はずっと赤字になっているようなケースだ。言っていることと実際の数字がバラバラでは、信用など得られない。
資金繰り計画にきちんと返済予定額を盛り込み、その上でも毎月の資金残高がマイナスになっていないよう、きちんとした計画を立てる必要がある。

尚、金融期間に対する融資申込の場合には、通常だと担保・保証人を求められる。担保や保証人によって借入可能額が変更され、利率が決定するのだ。事業計画立案の段階で利率などが判明していない場合には、あらかじめ金融期間の担当者に聞いておくと良いだろう。


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この記事を書いた人

静岡県出身。東北大学工学部応用物理学科卒。
1993年アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)入社。大手会計システムの設計・開発・データ移行に携わる。同社戦略グループへ配属後、医療法人システム導入PJT、大手石油会社業務改革に従事。同社を退社後、個人で複数の中小企業を相手に経営診断、営業支援を実施した後、1998年(株)ベルハート入社。発信型テレマーケティングメソッドの開発・導入指導をしつつ、1999年Bell Heart Inex Le Corp.代表として台湾へ赴任。同事業黒字化の後、代表退任し帰国。

2000年(株)ラストリゾート入社。国内拠点、海外拠点の拡大に従事。同年、同社取締役。2002年、同社取締役事業本部長就任。2006年代表取締役に就任。2009年同社代表退任後、数々の新規事業、新会社設立に参画。コンサルティングや経営参画しつつ、多くのプロジェクトに足を突っ込む根っからのお節介。
生涯調達資金額が70億円を超える資金調達のスペシャリスト。

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