世の中に、起業をしたいと思っている
起業予備軍がたくさんいる。
仕事がらそうした想いを持っている方と
話す機会が多いが、その多くの方が、
希望をもっていても起業しない。
どうしたら、その起業の想いを実現できるのだろうか?
起業は最初、経営者の強い想いから始まる。
その想いに対して必要な経営資源を集めて組み合わせ、
運営することによって事業が生まれるのだ。
その想いを形にするためには、
概ね次のステップを踏む必要がある。
1.事業概要を書き出す
自分の考える事業の概要について、紙に書き出してみる。
紙に書くことによって、それまで頭の中で
モヤモヤしていた内容が明確になるだろう。
すると、客観的にその事業アイデアを見ることができるようになる。
2.事業ビジョンの作成
事業のイメージをふくらませてみる。
・3年後に、その事業は成長してどのような規模になっているか?
・世の中にどういう商品やサービスを提供できるようになっているか?
・どのような方々に喜んでいただけているのか?
様々な観点で、今考えている事業のイメージを膨らませてみよう。
そのイメージから自分の事業が生み出している
社会的価値が何なのかを考え、
それを事業ミッション(=使命)として定義する。
3.ニーズの検証
自分の提案する事業から、
提供する商品・サービスが本当に
ニーズにかなっているのかを検証する。
ここでまず注意すべきことは、
自分が何を提供したいのかを先に考えるのではなく、
顧客のメリットを先に考えることだ。
またその背景に、確たるニーズがあることを
確認することが目的である。
加えて、競合の存在にも目を配ろう。
このステップを検討することによって、
提案する新規事業のマーケットニーズや
自己のポジショニングが鮮明に分かってくるはずだ。
4.コアコンピタンスと競合性の確認
ニーズの検証に加え、自己のコアコンピテンスに
ついての確認と、他者(他社)との競合性についても
確認する。
5.事業目標の作成
今検討している新事業について、
具体的な事業目標を作成する。
ここで作成する事業目標は、
後にマイルストーンとして事業の進捗状況を
検討するのに役立つこととなる。
事業目標を作成する上で、
考えておかなければならない
チェックポイントは以下の通りだ。
①短期的目標として、プロトタイプの商品・サービスを完成させる時期
②中期的目標として、新規事業として月次の損益分岐点を達成する時期。
売り上げ目標などについても考慮する。
ここでは、4.で触れた自分の狙っているポジショニングや
ブランディングの存在についても意識することが大切である。
③長期的目標として、新規事業の累積債務をクリアーし、
本格的な事業拡張(または安定的な事業成長)を達成できる時期。
会社の事業ビジョンと新規事業の方向性を合わせることが必要になる。
6.ビジネスモデルの検証
ビジネスモデルとは、すなわちお金を稼ぐ仕組みのことである。
どんなに良い事業であっても、お金の循環を生み出す
仕組みがなければ事業の継続はできない。
自分の考えた事業が、どのようにしてお金を産み出すのか。
またそれはなぜ実現できるのかを、他社の類似例や前例を
調べながら確証を得るようにする。
7.ビジネスモデルの機能テスト
前項で記載したビジネスモデルが、
本当に機能するかどうかをテストする。
最初から大きな投資をすることはリスクが高いため、
まずはプロトタイプ(=試作品)でテストを行なう。
そして市場に本当に自分が考えるニーズがあるか、
お客様が存在しているかを検証する。
8.収支の予測
5.で考えた事業目標に、
合致する事業収入と支出の大まかな予測を立てていく。
ただし支出額に関しては、例えば「製造原価」または
「仕入れ費」「人件費」「研究開発費」「販売促進費」「広告費」、
あるいは「販売管理費」や「減価償却費」などの大項目以外にも、
「家賃」や「運賃」「光熱費」など細かい項目まで考えられると望ましい。
9.マーケティングプランの作成
8.で予測した「販売促進費」「広告費」または「販売管理費」など、
数値化した支出額に合致する具体的なマーケティングプランを作っていく。
事業は、集客が命である。
どのようにお客様へ自社の商品やサービスを認知させ、
購入していただくのか。そのための具体的な計画を練っていくのだ。
10.人材と資金の計算
ここまでのプランを見直して、必要な人材と資金を計算する。
人材については、知り合いやこれまでの人脈の中で協力者が
募れないかを考えてみると良い。
資金については、まず自己資金をどこまで準備することが
できるのかを明確にしたい。
その上で、日本政策金融公庫や各行政機関が行なっている
創業支援融資の条件を確認してみると良いだろう。
こうして見てみると、
やるべきことが山のようにあると感じるだろう。
しかし逆に見れば、こうしたことがきちんと計画できていない段階では、
起業することが大変リスクが高いことだといえる。
十分な準備を進めることによって、起業後の負荷を軽減することができる。
そのあめ安定収入のあるうちに、十分な計画を立てておくことをお勧めしたい。
最後は起業へ向けて自らの覚悟を固められるかどうか
起業が成功するか失敗するかは、あなた自身がその鍵を握っている。
起業間もない会社の零細企業にとっては、社長の決定が全てだ。
従業員を含むすべての関係者は、
社長であるあなたの姿を見て様々な判断をすることになる。
起業においては、以下のようなことが求められる。
「最後まで最初に掲げた理念を実現するための信念を貫けること」
「全ての責任は自分にあることを理解して、全力で事業に専念できること」
「変化する様々な状況に応じて、必要な経営資源を調達しながら、
絶えず進化しつづけられること」
その覚悟が本当に自分にあるのか、もう一度考えてみて頂きたい。
なんとなく現状がつまらないから、今の仕事に不満があるから
逃げの気持ちで起業をすると、とても辛い状態になるから
ご注意を!
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