事業計画書 10のチェックポイント


事業計画書を作成する際には、
いくつか確認しておきたいポイントがある。

1.実現不可能な計画や、売上高をぶちあげていないか?
事業計画書の冒頭に、「1年後店頭上場」などと
書かれているケースがある。
夢が大きいことは良いが、「この人物は現実が見えているのか」と
思われるような表現は避けたいところだ。
また各種予測数字も勢いだけで書かず、裏付けを取ることが必要である。

2.すぐにマネされないよう、対策は考えられているか?
事業を稼働させるまでの「速度」に注目しているか。
独創的なつもりでも、同時期に似たプランを考える人も多い。
そのため稼働までにもたつかないことが大切だ。
また独創的なものが登場すれば、
人々がそれをマネようとするのは時間の問題である。
場合により、特許を含む権利対策も意識しよう。

3.対象とする客層を極端に絞り込みすぎていないか?
広すぎるターゲットでは訴求力がないが、その半面、
狭すぎるターゲットを設定してしまうのも危険だ。
マーケット規模が小さすぎて、収益力が弱まったり、
非効率になる恐れがある。
またリターンを期待する資金提供側にとって、
メリットが減少する危険性も持っている。

4.事業を稼働させるスタッフを実際に確保できるか?
事業を遂行するための技術や知識、資格、経験は自分にあるのか。
あるいは、それらを持っている人材を確保しているのか。
もしまだならば、今後どうやって獲得するのかを考えなければならない。
協力・提携関係などよって外部に求める方法はないかなど、
その答えを出しておこう。

5.流通・販売方法を無視していないか?
流通・販売方法は考えられているか。
問屋に卸すのか、小売りに卸すのか、あるいは通信販売などで直接売るのか。
もしくはそれらを複合的にやるのかなど。
どんなルートなら確保できるのか、コストも参照しながら検討しておこう。

6.特許や商標、著作権などを侵害していないか?
アイデアを盗用などしていなくても、
すでに特許や実用新案が認められている可能性はある。
また出願中であれば、すぐに使用ができなくなるケースも考えられるのだ。
またネーミングやデザインなどは、
商標や意匠を侵害していないかも要注意である。
知的所有権や著作権にも気をつけたい。

7.事業計画書の内容が専門的になりすぎていないか?
事業計画書を読む人は、ビジネスのプロであっても、
提案事業に造詣が深いとは限らない。
内容や表現が専門的になり過ぎないよう注意し、
できるだけ平易な表現を用いることが大切だ。
理解しない相手を責めるより、
どう理解させるかを考えるようにしたい。

8.事業計画書の量が膨大になり過ぎていないか?
事業計画書は、厚いほど良いと考える人もいるかもしれない。
しかしそれは、単なる錯覚だ。
長すぎる計画書ほど理解させるのは難しいため、
10~15分程度で概要とポイントがつかめる量が標準である。
どうしても量が多くなるなら、別紙や別冊にして分けて見てもらおう。

9.書くべき内容の比重を間違っていないか?
そのプランの、どの項目を一番伝えたいのか。
あるいは、相手はどの項目を一番知りたがっているのかで、
記述の比重は変わってくる。
例えばマーケットの将来性が魅力的なら、その説明を詳しくすべきだろう。
ただし、読み手が理解しやすい順に書くことを忘れてはいけない。

10.プレゼンテーションとの役割分担を意識しているか?
事業計画書は、それだけを見てもらう場合と、
プレゼンテーションしながら見てもらう場合とがある。
また映像や模型などのツールを使える場合と、使えない場合ともあるだろう。
そのためどういう環境で見てもらうのかを意識して、
内容やボリュームを決めたい。

多くの人に、複数の視点で見てもらう

「ついに事業計画書が完成した」そう思ってからが勝負だ。
「完成品」をたたき台にして自分自身でチェックすることはもちろん、
そのテーマに詳しい人や、反対にまったく詳しくない人に見てもらおう。
できれば普段から事業計画書を見慣れている人や、
計画書提出相手の立場に近い人なども探し出し、
ぜひ見てもらいたいものである。
なぜなら自分では完璧だと思っていても、まず間違いなく
「ミス」「抜け」「弱点」「矛盾」「無理」「難解」などと
思われる個所があるからだ。

いずれにしても人に見てもらった時は、
必ず良い点と悪い点の両方を指摘してもらうように依頼すること。
詳しくない人であれば、理解できるところと理解できないところ、
という反応でも良い。これは悪い点を修正していく際、
良い点を規範にして、良い点との整合性や相乗効果を狙うよう
作業ができるからである。

批判や意見は蓄積し、まとめて修正する

誰かに事業計画書を見てもらっている最中には、
相手から質問が出る場合があるだろう。
質問が出るということは、つまりその質問に関する考え方や計画が、
書類に提示されていないということを表している。
そのためその場は口頭で説明するにしても、
後でその項目を追加しておきたい。
尚、意見を聞くたびに修正するのではなく、
意見はいったん蓄積しておく。
多数派のもの、少数派でも鋭いと思えるものなどの
評価分類をしてから、修正作業に取りかかるようにしよう。

是非ブラッシュアップを繰り返して、素晴らしい事業計画書を
ご作成いただきたい!

それでは、また明日。


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この記事を書いた人

静岡県出身。東北大学工学部応用物理学科卒。
1993年アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)入社。大手会計システムの設計・開発・データ移行に携わる。同社戦略グループへ配属後、医療法人システム導入PJT、大手石油会社業務改革に従事。同社を退社後、個人で複数の中小企業を相手に経営診断、営業支援を実施した後、1998年(株)ベルハート入社。発信型テレマーケティングメソッドの開発・導入指導をしつつ、1999年Bell Heart Inex Le Corp.代表として台湾へ赴任。同事業黒字化の後、代表退任し帰国。

2000年(株)ラストリゾート入社。国内拠点、海外拠点の拡大に従事。同年、同社取締役。2002年、同社取締役事業本部長就任。2006年代表取締役に就任。2009年同社代表退任後、数々の新規事業、新会社設立に参画。コンサルティングや経営参画しつつ、多くのプロジェクトに足を突っ込む根っからのお節介。
生涯調達資金額が70億円を超える資金調達のスペシャリスト。

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