お客様に提供する価値は何か


最近、よくクライアント先から物をいかに売るかという
ご質問を受けることが多くなってきています。

たしかに世の中には物が溢れていて、マスメディアや
インターネットなどによって消費者の目も肥えてきて
いるために、なかなか売上が伸びないということに
直面している方が多いのだと思います。

よくある相談が、すでに商品を開発してしまっていて
それをどのように売るかという相談。
もちろんマーケティング手法や営業の改善により多少の売上増が
期待できる場合もありますが、通常はこのような相談の場合、
売上を上げることが難しいことが多いです。

営業の基本は「誰に」「何を」「どのように」売るのかという
3点に集約されます。その大要素の一つである「何を」が確定して
しまっていて、しかもその部分にかなりの難がある商品となると、
どんなにターゲットを絞って売り方を工夫しても売上は伸びません。
(この三要素は足し算ではなく掛け算で効いてきます。)

まず自分たちで開発するのであれば、最初から誰に何を提供
するのかをきちんと考えて商品を作ることがとても大切です。
どんなに開発者の思い入れが強くても、マーケットに評価されなければ
売上を伸ばすことはできません。
これはマーケットに迎合するということではありません。

その商品を開発する際に、販売対象となる顧客に対して
どんな価値を提供できるのか、機能的にはどんな価値が、
またそれを手に入れた時にどんな気持ちを提供できるのか
情緒価値をきちんとイメージして商品を開発・選定することが
とても大切だということです。

この部分がきちんとイメージできている商品は販売戦略を
立案するのがとても容易いです。
誰に何を伝えるのかが明確になりますし、そのことで、
営業する方も相手の求めているニーズに何を合わせれば良いかが
わかるから営業トークも組み立やすくなるのです。

営業を経験されている方であればお分かりだと思いますが、
自分が自信をもって販売できない商品を売ることは至難の技です。
まずは、売るべき商品がどれだけお客さまのお役に立つことが
できるのか、どれだけの付加価値を提供できるのかをきちんと
理解し、自らが本当に売るべき商品のファンになる必要があります。

自らがファンになっていさえすれば、お客様のお役に立つ情報を
提供できることは喜びへとつながります。逆にこうした気持ちに
なれない商品を売ることは自分の心を裏切ることにもなりますので、
日々苦痛の中で苦しむことになるでしょう。
世の中、営業という仕事が辛いといわれているのには、こうした
本来自分はいらないと思っているものを無理やり売りつけるような
仕事が横行しているからではないでしょうか?

本当のプロフェッショナル営業は、なんでも売れるといいますが、
それは売り方がうまい以前に、それぞれの商品がお客様に何を提供
できるかを理解して、その立場で自らをファン化できる才能を
持っている方なのだと思います。

本来、自らが良いと思ったものを人にお教えするということは
大変喜ばしい行為のはずです。買っていただくかどうかを他人が
コントロールすることはできませんが、良い情報を提供することは
だれにでもできる仕事です。自らが本当に良いと思える情報を
一人でも多くの方にわかりやすく、それぞれの立場に合わせて提供
できさえすれば、売上数字は自然と上がります。

目先のテクニックや方法論にとらわれることなく、心から良いと
信じることができる商品を開発・選定し、一人でも多くの方に
そのことを知っていただくことに専念すること、シンプルですが、
これこそ売上を伸ばす一番の方法だと僕は思います。


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この記事を書いた人

静岡県出身。東北大学工学部応用物理学科卒。
1993年アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)入社。大手会計システムの設計・開発・データ移行に携わる。同社戦略グループへ配属後、医療法人システム導入PJT、大手石油会社業務改革に従事。同社を退社後、個人で複数の中小企業を相手に経営診断、営業支援を実施した後、1998年(株)ベルハート入社。発信型テレマーケティングメソッドの開発・導入指導をしつつ、1999年Bell Heart Inex Le Corp.代表として台湾へ赴任。同事業黒字化の後、代表退任し帰国。

2000年(株)ラストリゾート入社。国内拠点、海外拠点の拡大に従事。同年、同社取締役。2002年、同社取締役事業本部長就任。2006年代表取締役に就任。2009年同社代表退任後、数々の新規事業、新会社設立に参画。コンサルティングや経営参画しつつ、多くのプロジェクトに足を突っ込む根っからのお節介。
生涯調達資金額が70億円を超える資金調達のスペシャリスト。

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