お金のものさしを捨てる


最近強く感じることだが、政治にしても企業経営にしても、
経済的効果の低いことやはっきりしないことについては軽視され、
経済的効果の高いことだけが意味のあることのように扱われ
重要視される傾向にある。

多くの人が「お金になるのか、ならないのか」を基準に
個々の行動を決める社会で、人は、生まれてから死ぬまで
お金洗脳社会で生きている。

でもお金はもともと分かりにくかった物やサービスの価値を分かり
易く表示し、交換するための手段であったあずだ。ところが今や
手段であるはずのお金が主役となり、本来の主役である物やサービス
の価値に眼がいかなくなっているような気がする。

お金を稼ぐために仕事をする。
生活をしなければならない立場の人間からすれば
至極当たり前の発想だ。
だが、本来仕事ととは、自分しかできない付加価値を
きちんと理解して、社会にその価値を提供するための
ものである。
組織のために自らの価値を押し殺して我慢しながら
お金を頂くようなものでは決してない。

すでに数年前の就活からこのギャップに苦しむたくさんの
学生を見てきた。それぞれは本当にいいものを持っているのに
就職氷河期という眼に見えない恐怖のために自らを押し殺して
企業にとって都合の良い人物を演じることが就職活動に
なっている。
当然、そうした気持ちで就職しても長く働くことはできず、
新卒の退職率の高さは毎年統計で現れているとおりだ。

一方、大震災で被災した地域で積極的にボランティア活動に
励む若者とも良く話しをするが、そこにいる若者像は就職活動の
それとは全く異なる。
「最近の若いのは何を考えているのかわからない」
「利己的で組織のことを考えない」
「無機質で人間性に欠ける」など、それまでの若者像というものは、
「経済を中心にしか物事を考えられない人」から見た、
一方的な批判であったことが明らかだ。

ある避難所のリーダーは、20歳そこそこの職人さんだ。
自分自身も被災者ですが、多くの人のために働く努力を惜しみまない。
彼は学校を出てから職を転々とし、大人達から不良呼ばわり
されていたそうだ。そんな彼が、睡眠時間を惜しんで避難所の
陣頭指揮をとり、対応の遅い県、役場に物資確保の折衝を行なうほか、
自衛隊に直談判し、防災用テントを架設するなど、誰からも指示されず、
自らの力で復興の努力をし、たくさんの被災者の心の支えとなっている。

彼らの行動基準や動機は利他心に溢れ、
「じっとしていられなかった」
「自分のできることをしようと思った」
「被災された方々のことが人ごとに思えなかった」と、
純粋で本能的である。
このような心のありようは人間誰もが共有しているはずなのだが、
震災直後、一部の会社経営者から、
「これでやっと景気が上向く」
「ビジネス・チャンス到来だ」との発言を耳にした。
多くの人命にかかわる非常事態においても
金儲けを考える利己心と、ボランティアに立ち上がった
若者の純粋な利他心。どちらがより人間的だろうか。

震災以降、明らかに日本人の価値観が変わっている。
お金に対して、「ないよりあった方がいいけれど、
最低限の収入さえあればそれでいい」と考える人が
増えている。
例えばビジネスで成功し、大金を手に入れた人が、
大豪邸に住み、高級車を乗り回し、金ピカの衣裳を着ていても、
その人をうらやましく思わず、むしろ冷ややかな目で見る。
大きな家に住むことも、高級車を乗り回すことも、
大金持ちになることも、そんなことにこだわるよりも、
自分にとって楽しいと感じられることや、
ボランティア活動などを通して得られる「自己実現」に
価値を見出すようになっている。

お金が手に入るから仕事する、ではなく
自分がやりたいから働く。
安いから、高いから買う、のではなく
自分がほしいから買う。

そんな価値観をきちんと持ち続けたい。

<今日の記録>
RUN5km+ウォーキング5km(まだほとんど走れません。。。)
体重:81.7kg 体脂肪率:20.2%

<今日の食事>
朝:おかゆ
昼:おかゆ
夜:タイ茶漬け+前菜etc


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この記事を書いた人

静岡県出身。東北大学工学部応用物理学科卒。
1993年アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)入社。大手会計システムの設計・開発・データ移行に携わる。同社戦略グループへ配属後、医療法人システム導入PJT、大手石油会社業務改革に従事。同社を退社後、個人で複数の中小企業を相手に経営診断、営業支援を実施した後、1998年(株)ベルハート入社。発信型テレマーケティングメソッドの開発・導入指導をしつつ、1999年Bell Heart Inex Le Corp.代表として台湾へ赴任。同事業黒字化の後、代表退任し帰国。

2000年(株)ラストリゾート入社。国内拠点、海外拠点の拡大に従事。同年、同社取締役。2002年、同社取締役事業本部長就任。2006年代表取締役に就任。2009年同社代表退任後、数々の新規事業、新会社設立に参画。コンサルティングや経営参画しつつ、多くのプロジェクトに足を突っ込む根っからのお節介。
生涯調達資金額が70億円を超える資金調達のスペシャリスト。

コメント

コメント一覧 (3件)

  • 非常に賛成ですね。ただ、私自身、立場的にもやはり、収益(収入)はそれなりに追いかけますが、絶対に間違えていけないのは、目的と手段の位置関係ですね。金を儲けるという行為はあくまで、プロセスであり、目的達成の為の手段の一つに過ぎないと言う事です。金儲けが目的になってくるとやはりおかしな事になってくる。

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