乗数のパワー


最近、起業をこれからする方や、すでに起業している方に対して
日本政策金融公庫をはじめとする各種金融機関から融資を受ける
ためのコンサルテーションの仕事が増えてきている。

その中で、これから経営者として企業運営をしなければならない
方々の数字リテラシーが低いことに驚かされる。

今、日本の金利はかなり安く、間接金融から資金調達をすることは
財務上大きなメリットが得られる。ほかの国では7%とかかかる
金利がその半分以下で借りられるわけであるから、使わない手はない。

ただ、その金利に対する認識が非常に低い。
3%の金利は確かに低くて魅力的だが、ひとつ間違えれば、
返済に苦しむ可能性を秘めている数字でもある。

借り入れ金はいずれは返済しなければならない。
ということは、借りたお金を使って最低限利回り3%以上で
利益を出すビジネスモデルを持っていなければ、いずれ
キャッシュフローが枯渇して破綻する。

今の時代、税引き後利益できちんと3%以上の利益率を
出すことは、実はかなり難しい。この部分の分析を誤ると、あとで
大きなしっぺ返しを食らうことになる。

お金を金融機関から引っ張ることは、実はそれほど難しく無い。
変な金融機関からお金を借りていたり、ブラックリストに乗って
いなければ創業支援の枠で1000万円までの金額をかりることは、
実現可能である。

実際、昨年だけで二桁に上るクライアントの融資を成功させている。
僕は固定費でコンサル料をチャージしないので、クライアントに
とっても融資が成功した段階で、一定の利率のフィーを僕に払えば
よいから、毎月なんやかんやで10以上の依頼が舞い込んでくる。
コンサル業としてみれば、とても恵まれた環境だ。

だが、その依頼内容を見ると、どうしても疑問符を持たざるを
得ない案件も正直ある。結果としてコンサルを引き受けるのは
全体の1/3程度にとどまる。どんなにお金的においしい案件で
あっても自分のポリシーに反するものには力を貸せない。
当然守秘義務があるので、ここでは書けないが、
将来の利益プランがまったく無いままで融資を受ける
ことは、将来の自分にとって大きなリスクであることを
声を大にして伝えたい。

ちなみに乗数のパワーはすごいものがある。
数%の金利であっても複利で利いてくるので、
後々負担が重たくなる。

ここで乗数のパワーのすごさを知っていただくために
ひとつの例を挙げてみよう。

仮に厚さ0.1mmの新聞紙を二つ折、四つ折りと徐々に
折っていくとする。このパターンで100回折ったらこの新聞紙は
どの程度の厚さになるか。以下の選択肢から選んでほしい。
※物理的に折れないことは、この際無視していただきたい。

<答え>
1.厚さ:10m

2.東京タワーの高さ(333m)

3.富士山の高さ(3776m)

4.地球の外周(4万km)

5.太陽系の直径(120億km)

6.銀河系の幅(10万光年)

検証してみよう。

計算は簡単で、0.1mm×2^100

2^100=2^10^10
    =1024^10
    ≒10^3^10
    =10^30

0.1mm×10^30
=10^26m
=10^23km
>10万光年

すなわち、新聞紙を100回折った時の厚さは
銀河系の幅を超えるのである。

乗数って、やっぱり怖い。。。

なお、この乗数のパワーを理解した上でお読みいただきたい
のだが、資金力が豊富にあればギャンブルでの必勝法がある。

とてもシンプルだ。

ルーレットでずっと赤に賭け続ける。

もし勝てば、資金が倍になって終了。

まけたら、負けた金額の倍の金額を同じ赤にかける。
また負けたら、その負けた金額の倍の金額を赤にかける。
これを勝つまでひたすら続ける。

黒が10回連続で出る確率は1024分の1であるから
(簡略化のため00を省いて考えています。。。)
よほどのことが無い限り、どこかで必ず資金は倍額に
なる。それまでの投資資金を差し引いても

2^(N+1)-Σ2^X(X=1~N-1)
=2^N+1
※Nは勝つまでのベット数。

の金額を手に入れることができる。

実際のギャンブルではこうした手を読み取ってディーラーが
00を使ったりするため、容易には勝てない。
あと、この場合、確実に勝てる確率は限りなく100%だが、
実際の儲けはたいしたことない。
こうした方法でギャンブルのワクワク感を得られるかどうかは
かなり疑問だ。
実際に目標値を持ってトライする場合に、この手法では
目標達成までにとんでもなく時間がかかるという
現実世界でのハードルが待っている。

僕がここで伝えたかったのは、結局金を持っている人が
こうしたギャンブルでも戦略上優位に立てるということだ。
(当たり前か!)

資金力がある方、一度試していただきたい。
もちろん、その時には「乗数のパワー」がかかる資金力が
必要であることをお忘れなく。

<今日の記録>
ジョギング 10km(2月累計:40km、年間累計:370km)
体重:83.4kg
体脂肪率:20.7%

<今日の食事>
朝:手製やきそばパン

昼:サラダ+ピザ
※写真取り忘れました。。。。

夜:から揚げ丼+チキン


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この記事を書いた人

静岡県出身。東北大学工学部応用物理学科卒。
1993年アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)入社。大手会計システムの設計・開発・データ移行に携わる。同社戦略グループへ配属後、医療法人システム導入PJT、大手石油会社業務改革に従事。同社を退社後、個人で複数の中小企業を相手に経営診断、営業支援を実施した後、1998年(株)ベルハート入社。発信型テレマーケティングメソッドの開発・導入指導をしつつ、1999年Bell Heart Inex Le Corp.代表として台湾へ赴任。同事業黒字化の後、代表退任し帰国。

2000年(株)ラストリゾート入社。国内拠点、海外拠点の拡大に従事。同年、同社取締役。2002年、同社取締役事業本部長就任。2006年代表取締役に就任。2009年同社代表退任後、数々の新規事業、新会社設立に参画。コンサルティングや経営参画しつつ、多くのプロジェクトに足を突っ込む根っからのお節介。
生涯調達資金額が70億円を超える資金調達のスペシャリスト。

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