競合について考える


ビジネスを考える上で、競合についてリサーチをすることは
とても大切なことだ。

競合を調べる前に、まずは自分が考えているビジネスが
属する業界がどこなのかを考える必要がある。
業界カテゴリーについては様々な分類があり、
それぞれの分類方法に応じたレポートが出されているが、
公表されているものとしては以下のような資料が挙げられる。
(国会図書館リサーチナビより引用)

①業界動向全般

●『第11次 業種別審査事典』第1-9巻(金融財政事情研究会 2008)
1,290の業種について、業種の特色、業界動向、業務知識、関連法規、業界団体などを記述している。統計をはじめとする図表類も多数掲載されているが、ページ数は業種によって異なる。

●「TDB業界動向」(『TDB report』(帝国データバンク)
100近い業界について、概要と特色、最近1年の出来事、今後の見通し等を解説している。また、各種統計も多く収載されている。他に、250の分野についての業界天気図、最近半年間の主な企業合併・商号変更・上場一覧も掲載されている。

●『業種別業界情報』(経営情報出版社 年刊)
350の業種について、業界のあらましと現状、業界の仕組みと特性、経営の動向と問題点、業界の悩みと今後の方向などをまとめたものである。業種ごとのページ数は一律2ページ。新興業種を比較的多く掲載している。

●『店周680業種融資渉外ガイド』(銀行研修社 2003)
682の業種について、業界動向、業態研究等を記述している。多くの場合に統計、経営指標を掲載するほか、「流通・資金経路図」を必ず掲載。業種ごとのページ数は一律2ページである。

●『輸入商品別マーケティングガイド : 執務参考用. 2004』(JETRO 200)
食料品、アパレル・ファッション、スポーツ・趣味関連、住宅関連、家具・家事用品、ヘルスケア、その他の7分野約100品目を取り上げ、それぞれの品目について輸入動向、輸入・販売上の留意点、税制度、商品特性、国内流通・取引慣行等、関連団体等を掲載している。国内流通・取引慣行等の項目には国内マーケット事情や流通経路が記されており、国内の市場動向を調べる際にも有用である。ジェトロ 調査レポートに関連資料が掲載されている。

②業界地図

●『図解革命!業界地図「最新」ダイジェスト』(高橋書店 年刊)
●『日経業界地図』(日本経済新聞社 年刊)
●『会社四季報業界地図』(東洋経済新報社 年刊)
●『最新業界地図がまるごとわかる本』(高橋書店 年刊)
業界地図とは、主要参入企業の売上高・生産高、シェア、企業間の提携関係等を業種ごとに図示した資料です。扱う業種数は、資料にもよりますが40〜70程度となっている。

③市場規模・マーケットシェア

●『日経シェア調査195. 2012年版』(日本経済新聞出版社 2011)
163品目についての国内市場規模・国内シェアのほか、32品目についての世界市場規模・世界シェアを収録している。また各分野について現状を解説するだけでなく、今後の展望などを分析している。当資料は2012年版より現タイトルに改題されており、2011年版以前の情報については『日経市場占有率』(日本経済新聞出版社 年刊)で調べることが可能だ。

●『日本の主要産業における企業のシェア変動 : 長期時系列調査』(税務経理協会 2009)
日本の主要産業について、生産や販売などの実績データに基づいて長期的な企業シェアの変動をグラフに加工して取りまとめた資料である。時系列データが10年以上で、できる限り長期にわたるデータが確保できる等の基準で選ばれた818産業が収録されており、分類・整理・配列は日本標準産業分類(第11回改定版)に基づいている。

●『東洋経済統計月報』(東洋経済新報社 月刊)
毎年12月号と1月号の2号にわたって特集「最新シェア調査」を掲載している(2008年の11月号と12月号に掲載された第30回をもって終了)。品目ごとの記載項目は市場規模(販売金額、販売数量、伸び率等)と上位5社のシェアである。

以下の資料に掲載される収入金額や売上高、出荷金額、販売額等は、その業種の市場規模とみなすことができる。

●『会社標本調査:調査結果報告:税務統計から見た法人企業の実態』(国税庁 年刊)
業種ごとに営業収入金額、所得金額等を記載している。調査対象は内国普通法人。冊子体は2006年までで、これ以降の調査結果は国税庁ホームページ内統計情報にも掲載されている。また同ホームページ内の「長期時系列」から、昭和26年から現在までの推移が分かる。

●「法人企業統計年報特集」(『財政金融統計月報』(国立印刷局 月刊)毎年9月号
43業種(「日本標準産業分類」に基づき、金融・保険業を除く全産業を43に分類したもの)について、売上高、営業利益等を掲載している。資本金の額により9段階の規模区分を行っており、同業種内で規模間の比較が可能だ。財務総合政策研究所ホームページ内法人企業統計年報特集にも掲載されている。

●『工業統計表 産業編』(経済産業省経済産業政策局調査統計部 年刊)
約700種の製造業(産業細分類別)について、製造品出荷額等(製造品出荷額の他に加工賃収入額、修理料収入額等を含む)を記載しており、過去5年間の推移も分かる。調査対象は西暦末尾0、3、5、8の年については全事業所、それ以外の年については基本的に従業者4人以上の事業所である。調査の概要や結果は、経済産業省ホームページ内工業統計調査にも掲載されている。また同ホームページ内工業統計データライブラリーからは、産業細分類別の製造品出荷額等について長期時系列データを入手することができる。

●『商業統計表 第1巻 産業編(総括表)』(通商産業省大臣官房調査統計部 5年に1度刊)
約80種の小売業・卸売業(産業小分類別)について、年間販売額を記載しています。過去25年間の推移も分かる。調査対象は全事業所だ。統計表は、経済産業省ホームページ内商業統計調査にも掲載されている。また同ホームページ内「時系列」では、小売業・卸売業について産業細分類別(約200種)の小売業・卸売業の年刊販売額の時系列データを入手することが可能だ。

●『サービス業基本調査報告 第1巻(全国編)』(総務省統計局 5年に1度刊)
約140種のサービス業(産業小分類別)について収入金額を記載しており、最新の数値と5年前の数値との比較もできる。調査対象は、従業者30人以上の事業所については全事業所、30人未満の事業所については全事業所から抽出した一部の事業所。総務省統計局ホームページ内サービス業基本調査にも掲載されている。尚、同調査は平成16年の第4回調査を最後に廃止され、事業所・企業の経理項目は経済センサス活動調査で調査されるようだ。

●『工業統計表. 企業統計編』(経済産業省経済産業政策局調査統計部 年刊)
概況のトピックス「工業品目で見た企業シェアの状況」に「品目別統計表」を掲載しており、約1800品目について品目ごとの出荷金額と大企業・中小企業構成比、上位3社および10社のシェア等を記載している。同表は、工業統計調査の「企業統計編」にトピックスデータとして掲載されている。

④所得ランキング

●「日本の会社」(『週刊東洋経済』(東洋経済新報社 週刊)
法人の申告所得額の業種内ランキングが掲載されていが、収録法人数は年によって異なる。『週刊東洋経済』の第何号が本書であるかは、当館「雑誌記事索引」で「論題名」に「日本の会社」、「雑誌名」に「週刊東洋経済」と入れて検索すると調べられる。尚、2006年3月に成立した税法改正で法人申告所得の公示制度が廃止されたため、2006年版を持って廃刊となっている。

●『法人申告所得ランキング』(ダイヤモンド社 年刊)
法人の申告所得額の業種別ランキングを掲載しているが、収録法人数は年によって異なる。業種別ランキングに登場するのは、収録法人のなかでも上位のもののみ。尚、2006年3月に成立した税法改正で法人申告所得の公示制度が廃止されたため、2006年版を持って廃刊となっている。

●『全国優良法人所得名鑑』(東京商工リサーチ 年刊)
94業種について、申告所得額の業種別ランキングが掲載されている。業種別ランキングには収録法人の全てが登場しており、所得金額の他に対前年増減率も分かる。但し「公示制度」廃止に伴い、平成18年度版をもって廃刊になった。

こうした様々な資料を用いて、
業界の動向やその業界内でのライバル企業の状況などを確認してみよう。
確認ができたら、その中でも勝ち組と考えられる企業を
数社ピックアップし、自社とベンチマークする。
ベンチマークする比較項目としては、以下のような点が挙げられる。

・競合企業の扱っている商品・サービスは何か?その特徴、優位性は何か?

・競合企業に対する顧客の評価は?良い点だけでなく悪い点も含めて確認してみる。

・市場全体は伸びているのか、衰退しているのか?またその理由は何か?

・自分の事業を考えた場合、競合企業と比べて圧倒的に優っているポイントはあるか?

など

こうした視点で客観的に自分の事業を分析してみる。
すると、いろいろな気づきを得られるに違いない。


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この記事を書いた人

静岡県出身。東北大学工学部応用物理学科卒。
1993年アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)入社。大手会計システムの設計・開発・データ移行に携わる。同社戦略グループへ配属後、医療法人システム導入PJT、大手石油会社業務改革に従事。同社を退社後、個人で複数の中小企業を相手に経営診断、営業支援を実施した後、1998年(株)ベルハート入社。発信型テレマーケティングメソッドの開発・導入指導をしつつ、1999年Bell Heart Inex Le Corp.代表として台湾へ赴任。同事業黒字化の後、代表退任し帰国。

2000年(株)ラストリゾート入社。国内拠点、海外拠点の拡大に従事。同年、同社取締役。2002年、同社取締役事業本部長就任。2006年代表取締役に就任。2009年同社代表退任後、数々の新規事業、新会社設立に参画。コンサルティングや経営参画しつつ、多くのプロジェクトに足を突っ込む根っからのお節介。
生涯調達資金額が70億円を超える資金調達のスペシャリスト。

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