野田首相は11月11日、記者会見を開き、12日からホノルルで
開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議で
「TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る」ことを表明した。
APEC首脳会合に合わせて現在、TPP(環太平洋連携協定)
交渉参加9か国が大枠合意をめざして会合を開くことになっており、
野田首相はこの場やオバマ大統領との日米首脳会談の場などで
日本政府の方針を伝えた。
このニュースで日本中が賛成論・反対論で二分しているが、
僕は長期的に見た場合TPPへの参加は本来必要なことだと思う。
TPPに参加することにより農業自給率が下がるなどという意見
もあるが、すでに日本の農業の自給率は十分低い。
国内で作物を生産している率という定義は間違っていて、実際に
農業で使われている肥料などを純国産でまかなおうとすると
日本の自給率は限りなくゼロに近づく。
本当に日本が鎖国をした場合に、自給できる食糧というのは
ほとんど無いのだ。
こうした場合、日本全体の食料を確保するという命題に対して
考えなければならないのは、食料の調達先を多様化させると
いうことである。一国との関係が悪化したとしても他の国から
十分な食料が調達できれば問題ない。もっと発展させて、海外
の農業用地の開発を共同で進めて、そこから得られる農作物の
何割かを将来継続して手に入れられるような仕組みを考えて
実質的な自給率を向上させるべきである。
高い税金を使って補填しながら生産を維持しつつ、一方で減反
政策を進めているという構造には本来無理がある。
日本は貿易で成り立つ国であるから、なるべく多くの国と
貿易に関するきちんとした良好関係を築くことなしに
存続できない。TPPも本来の趣旨を考えた場合には、
十分検討すべき内容のものであると考える。
ただし、今回の参加協議表明は、タイミングが遅すぎる。
すでにTPPのルールの概要が固まった段階で参加表明をしても
協定内でイニシアチブをとることは不可能であり、さらに現在の
政権にそうした外交能力も無いことから、結局日本にとって
不利な内容も甘んじて受けなければならない状況が発生する。
わざわざ不利な条件の協定に入る意味が無い。
本来の目的であればよいものであっても、政治判断の遅延によって
加盟すると不利益が生じてしまうというなんともおそまつな状況が
発生している。判断が遅延しているから、その状況を国民にも説明
できず、結果として大きな不満と不安が残る結果になってしまった。
ま、協議するのは自由だが、今となってはメリットは薄く、入らない
方が無難ではないのだろうか?
それとも大きな一発逆転ホームランが放たれ、国民から見て
「これだったら加盟した方がいいよね」という意見が大勢を
占める状況を生み出すことができるのか?
協議の内容を注意深く見守りたい。
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