デイリー・コントロールが業績を創る


アクセンチュアに勤めていたころ、クライアント企業に配布していた
リーフレットに記載されていた記事を紹介したい。

「デイリー・コントロールが業績を創る」

1.業績低迷は営業にある

景気低迷が長期化する中、業績の伸び悩みに苦しんでいる企業が多い。
かつてない減収減益を余儀なくされている企業も少なくない。
需要が冷え込み、画期的な商品やサービスが期待できない状況の中で、
これまでと同じような企業運営をしていたのでは、業績が上がらないのは当然ともいえる。
多くの企業に共通する業績低迷の理由の一つは営業力の弱さである。
需要が供給を上回り、需要があることを前提にした時代には
それなりの数字があげられたが、市場が冷え込んでしまうと、
需要を掘り起こすことができない。
放っておいても業績が上がった時代は完全に終わったにも関わらず、
旧態依然とした営業活動を繰り返している。
厳しい環境に対するための知恵や工夫は個別、散発的なものにかぎられており、
組織としての動きにまで高められていないのが実情である。
営業部門の柔軟性、創造性の欠如が企業の業績回復を明らかに鈍らせているのである。

2.見える仕組みを作れ

営業はその業務の特性上、放っておくとブラックボックス化する。
右肩上がりの時代にはそれなりの結果が出ていたため、
多くの企業はその欠陥が放置されたまま、需要低迷期に突入している。
売上という結果は突然降って湧いてくるものではなく、
日々の営業活動の累積によってもたらされるものである。
まして需要を掘り起こさせなければならないこの時代は、
日々の活動を如何に効果的なものにするかが営業責任者、
営業担当者の最大の責務である。
にもかかわらず、多くの企業では営業担当の日々の営業プロセスが
“見えない”のである。
商談の進捗や競合他社との競争状況が見えずに
どうして競争に打ち勝つ有功な打ち手を講じることができるのだろうか?

営業活動は日次でコントロールするのが基本である。
この仕組みをデイリーコントロールシステムと呼ぶ。
営業活動を的確に、タイムリーに把握し、必要なアクションを
営業担当に迅速にフィードバック(コーチング)し、
トップセールスや管理部門との連携などの“面接点”攻撃を機動的に仕掛ける。
そして、営業担当者が相互に知恵や情報を共有し、お互いに日々の活動を高めあっていく。
この仕組みを確立した企業とそうでない企業とでは営業力に圧倒的な差が出ていくる。
デイリーコントロールシステムの欠落した企業は営業担当に対して
売上の数値目標だけを押し付け、営業マンは目的意識の希薄な行動を繰り返し、
不十分な売上という結果だけが残り、組織としても疲弊してしまう。
組織としての営業力を高め、強い営業に変身するためには、
このデイリーコントロールシステムを設計・開発し、組織の中に
埋め込んで行くことが必要不可欠なのである。

3.たかが日報・されど日報

デイリーコントロールシステムを機能させる基本的なツールとして、営業日報がある。
「日報ぐらいうちの会社でもちゃんと書かせている。」と思う方も多いだろう。
しかし、営業日報をデイリーコントロールシステムの重要なツールとして認識し、
使い切っている企業は希である。
実際、営業担当は「日報を書く時間がもったいない」とか
「日報を書いてもどうせ誰もみないだろう」などといった理由で、
営業日報を詳細に書きたがらない。
また書いたとしても、記入ミスがあったり、単なる事実の記述にとどまり、
結果に対する考察がおろそかになっているのが現状である。

基本的な考え方を改めなければならない。

営業日報は報告や管理のためにあるのではない。
オーダー受注というゴールを目指すために、現状を正しく把握し、
次のアクションを考える材料として存在するのである。
営業日報を業績向上の“宝の山”として活用し、業績を上げている企業も存在する。
理化学機器メーカーのアトーでは「日報は血液である」と表現している。
同社では、顧客からの引き合い情報、商談進捗状況などを最も重要な経営資源として
位置づけ、毎日訪問した顧客の情報を記した「顧客情報カード」を全社で共有している。
営業担当が吸い上げた情報こそが、企業の血液であり、
絶えず新しい血を企業の隅々まで流し続けること-企業活動を支える
こうした基本思想が強い企業を支えているのである。

4.営業日報で経営を組み立てる

営業日報を効果的に活用し、経営そのものを組み立てている企業と
して電源装置メーカーのコーセルが挙げられる。
電源装置の市場は全体に低迷、縮小傾向にあるにも関わらず、
同社は3期連続の増収増益を遂げ、経常利益率15%以上の高収益企業となっている。
同社の強さは、高い技術力に加え、市場に密着した営業情報の徹底活用にある。
同社には全国に約60名の営業マンがいるが、こうした営業マンの鮮度の高い情報が
営業日報としてとりまとめられ、この日報で経営が組み立てられているといっても
過言ではない。

同社の飴社長は次のように語る。

「組織であれば、“悪さ”が起こるのは当たり前で、それを見えるようにすることが
重要である。放っておくと、組織は“悪さ”隠そうとし、“悪さ”を報告したがらない。
悪さ加減を的確にかつタイムリーに掴むことが次の正しいアクションを可能にする。」
営業マンが記した日報は、直属の上司がその日に見て次のアクションに対して
コーチングを行うだけではなく、社長、技術部門、生産部門、更には他の営業所へと
その日のうちにFAXで送られる。
鮮度の高い情報は「技術部門の独走」を防ぎ、生産部門の効率的な生産計画を可能にする。
更に営業マンはお互いの営業日報に接することで、情報や知恵を共有すると共に、
お互いを刺激する有効なツールとして営業日報を活用しているのである。

また、同社では営業マンには売上目標を課していない。
営業マンの活動目標はあくまで指標化されたプロセス目標だけである。
同社ではこうしたプロセス目標と売上の因果関係を継続的に分析、解明し、
営業の科学性を絶えず追求している。
ともすると、数字という結果のみにとらわれがちな営業活動において、
そのプロセスの重要性を説き、ここのプロセスを効果的に設計し、
きちんと積み上げていくことが、営業マンに課せられた最大の責務であるという
考え方が全社の共通思想となっているのである。

厳しい市場環境を勝ち抜いている強い企業には共通する秘密がある。
それは地に足のついた基本的なことを、とにかく徹底して粘り強く
磨き上げていることである。
営業部門においても、デイリーコントロールシステムの重要さを
今一度問い直してみる必要があるのではないだろうか。

<今日の記録>
RUN:お休みでした。(昨日の飲みすぎが原因です。)
体重:84.9kg
体脂肪率:21.2%

<今日の食事>
朝:パン+弁当

昼:葡萄舎のカレー

夜:ガーリックチキン南蛮丼


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この記事を書いた人

静岡県出身。東北大学工学部応用物理学科卒。
1993年アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)入社。大手会計システムの設計・開発・データ移行に携わる。同社戦略グループへ配属後、医療法人システム導入PJT、大手石油会社業務改革に従事。同社を退社後、個人で複数の中小企業を相手に経営診断、営業支援を実施した後、1998年(株)ベルハート入社。発信型テレマーケティングメソッドの開発・導入指導をしつつ、1999年Bell Heart Inex Le Corp.代表として台湾へ赴任。同事業黒字化の後、代表退任し帰国。

2000年(株)ラストリゾート入社。国内拠点、海外拠点の拡大に従事。同年、同社取締役。2002年、同社取締役事業本部長就任。2006年代表取締役に就任。2009年同社代表退任後、数々の新規事業、新会社設立に参画。コンサルティングや経営参画しつつ、多くのプロジェクトに足を突っ込む根っからのお節介。
生涯調達資金額が70億円を超える資金調達のスペシャリスト。

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