月商4000万円の便利屋


月商4000万円を挙げている「伝説の便利屋」をご存知だろうか

右近勝吉(うこんかつよし) 1940年生まれ。佐賀県出身。

中学高校時代ヤクザの組に入り、新宿の盛り場でけんかに明け暮れていた。
ある日、路傍で伝道する宣教師の笑顔に出会う。
その笑顔見たさに教会に入り浸るようになり、
やがてイエス・キリストを受け入れ、ヤクザから足を洗った。

63年に日本大学法学部卒業後、ガソリンスタンド、新宿専門店会、
広瀬無線など職を転々とするかたわら、世界一周旅行を敢行。
日本を出た時に12万円だった所持金は、何故か帰国時には25万円に増えていた。

38歳で帰国し、とあるテレビドラマをヒントに便利屋「右近サービス社」を始める。
引っ越し、水道管工事、どぶさらい、庭の手入れなど雑用を一手に引き受ける
便利屋は「人間出会い業」だと言い、「話し相手に」「食事を一緒に」
「引きこもりの子と過ごして」など、「魂の便利屋」として寂しい心に寄り添う仕事もこなす。

有名漫才師の付き人なども経験し、今やテレビや雑誌にひっぱりだこ。
マンガ『ふうけもん』(イーブック出版)のモデルになったり、
中谷彰宏著『サービスの達人』にも取り上げられている。
自身の著書『人のために人となる人』(サンマーク出版)の中でも、
右近さんは自分のことを「ふうけもん」(佐賀弁で「はみ出し者」の意)と呼ぶ。
※編集者注)
右近さんは、かつて横山やすし氏のマネージャーを務めていた時期がある。

現在は東京都世田谷区に「里帰り」というスペースを開いて、食事をしたり、
牧師として聖書を読んだり、ゴスペルを歌ったりしながらコミュニケーションが
出来る場を提供している。

インタビューの一部を紹介したい。
http://www.geocities.jp/catalists/test/3_ukon.html

●感動から目的や行動を決めてしまうチカラ

鈴木
右近さんは20代30代の頃、まわりの同世代の友人たちが会社で働いてるなか、
世界一周旅行をしていたそうですが、不安はなかったんですか?

たとえば、自分は将来どうなるんだろうか、どういう風に生きていったら
自分は輝けるのだろうか、といったような不安はなかったんですか?

右近
僕は26歳から38歳まで12年間、世界一周無銭旅行をやっていたんです。
無銭旅行っていうとかっこよく聞こえるけど、
まぁ要するにお金を持ってなかったんだよ。

就職は、世界一周を達成してからしようと決めていました。
人間ってものは、目的をつくるととにかく楽しくなるし、ウキウキもする。
だからやってること自体も楽しくなる。
目的をつくるのは、ほんといいことばっかりです。

そりゃあ、多少の困難はあったけれど、そんなの目じゃないよね。
だって毎日世界一周達成という目的のために動いているんだから。

やりたいことを決めて突き進む。
それが大事なんじゃないかな。
するとみんな一生懸命やれるんじゃないかなー、って気がするんだよね。
むしろみんな目的がないからあっちこっちフラフラしちゃうんじゃないかな。
目的は自分でつくるのものなのよ。

鈴木
右近さんは、その世界一周という目的を、ある日偶然ふっと思いついたんですか?

右近
26歳の時、僕は新宿のステーションビルで働いていたわけ。
そこで、一週間香港に行って研修を受けられるっていう
研修旅行の募集ポスターが廊下に貼ってあったの。
それで僕は行ってみたいなと思った。

でも当時200人くらい社員がいて、
僕は入社したばかりの新人だから絶対無理だろうと思いつつ、
応募してみた。
そしたらなんと「行ってこい!」と言われたんだよ。

それで香港を旅行して、
「香港の商店街は素晴らしいなぁ。すごいなぁー!」って思ったの。
それでその瞬間、
「よし、日本に帰ったらすぐ会社をやめて世界一周をやってやれー」
と思った訳です。

スタッフ
(笑い) その直結発想が、なんかすごいですよねー。

右近
そう、すごいんだよ(笑)。その時の香港が初めての海外旅行だった。
向こうでは、カメタニという宣教師とずっと一緒だった。
小田実の『何でも見てやろう』(角川書店)という本をその頃読んでいて
海外旅行に憧れていた。

でも実際行くことをみんなに話すと、親や教会の全員に反対されて、
おまけに「おまえは馬鹿だ」と言われました。
まだ海外旅行なんていうのが一般的ではなかった時代でしたしね。
ちょうど26年前、昭和50年代前半のこと。

鈴木
そのころはまだ海外が遠かった時代ですよね。

右近
そうだね。世界一周に行く時はまず、食べるためにはどうすればいいかを考えて
下駄を履いて行った。カランコロンって音を鳴らせばみんな振り返るんじゃないかと。

それに白いシャツの背中に大きく「ジャパニーズ・クリスチャン」って書いた。
とにかく目立たなきゃってんでね。それに軽装で行った。
飛んで歩けるように。
みんなが「えーっ!」って振り向くように。

案の定、みんなが声をかけてくれました。

スウェーデンのユースホステルでは
海辺でホットドッグを食べている女の子がいた。
ぼくはお腹がすいていて、どうしても食べたくてホットドッグだけを見つめたんです。

顔とかそんなのは全然見ないでホットドッグだけをとにかく見ていました。
そうしたらその彼女、ホットドッグを僕にくれたんです。
欲しいものはジーっと見つめることが大事なんですね(笑)。

鈴木
右近さんの生き様が凝縮されてる気がしますね(笑)
でもそれって人生にも通じるような気がします。
欲しいものを一点集中で見つめるということはとても大事なこと。

あれこれ見るのではなくて、一個だけを見ること。
すると与えられたりして。

右近
長いこと外国を旅していると、ホームシックにかかっちゃうんだよね。
小田実の書いた本に「ホームシックになったらとりあえず帰りなさい」そう書いてあったので
僕はホームシックになるとすぐに帰国していました。
不思議なもので成田に着いただけで治っちゃったりする。

なにしろ親切にされると日本を思い出しちゃう。
ホームシックになったのは4回あった。どこであったかというと、
デンマーク、イスラエル、オーストラリアだったかニュージーランド。
そして、最後はシンガポールで新婚家庭に泊めてもらった時だった。

僕の場合のホームシックは親に会いたいとかっていうのではなくて
日本に帰りたくなる。

鈴木
それにしても12年間もかけて世界一周をするなんてすごいですよね。

右近
僕はバカだから。
世の中にはバカな人間がいないと面白くないからね。

●3つの人生のテーマ

鈴木
インタビューを受けてくださる方に必ず質問していることなんですが、
ずばり右近さんにとっての人生のテーマって何ですか?

右近
そうだなぁ・・・。
一つ目は、人に寄り添うこと。でも、こちらからは何も言わない。

二つ目は、人に仕える(つかえる)こと。
これは便利屋の仕事に通じることで、
要するに自分がしてもらいたいことを人にしてあげるということ。

三つ目は、ひきこもり、不登校の人を元気にすること。

それとね、関係ない話かもしれないけれど、
僕は人に好かれる努力をしている。
それと嫌われることはしないように気をつけている。
具体的には、例えば服装はこざっぱりしたものを身につけるよう心がけてる。

鈴木
なるほどー。

「人に仕える」ことの大事さを著した色紙を
持って笑顔いっぱいの右近さん!

●聖なるヤクザと呼ばれて

鈴木
このインタビュー記事の読者のなかには、人に
嫌われるのがこわい方もいらっしゃると思うので、
質問するのですが、
右近さんは、人に嫌われるのってコワイですか?
それとも嫌われてもしょうがないと思いますか?

右近
思いすぎかも知れないんだけどねー、
・・・この世の中ってのは僕を中心に回ってるのかなぁって
そんな気もするんだよね(笑)

鈴木
笑)そういう風に考えられるのっていいですよねぇ。
でも、その考え方って案外正しいのかも、って僕、思うことあります。

だって、地球は自分のためにまわっている。
すなわち地球は自分のためにある。
そして、人生を自分のために生きる。
実はそれが基本であって、その自分を喜ばせるための行為の先に
更に人さまの役に立てたらもっといい。
こうゆう順番。
考え方のこの順番が大事。

順番を間違えちゃって、いきなり最初から人に与えることばかりを
考えて行動したら自分が潰れちゃうことにもなりかねないですよね。

(編集者の言葉)
このあたりの内容は以前登場していただいた石井氏の言っていた
「不純な動機が大事」という話とつながっているようにも思えます。

右近
それとねぇ、人は一週間に一度くらい神様(ある意味では
「自分」とも言い換えられる)と向き合うことが
大事じゃないかなぁって思う。
黙想の時を持つってことで。
でも、毎日だと疲れる人も出てくるけれどね。

鈴木
右近さんの人生における影響を受けた大きな出会いはありますか?

右近
そうだなぁ。

マカルパインさん、松下幸之助さん、横山やすしさんの三人だな。

マカルパインさんは、とにかくその笑顔に魅せられたんです。
人間、一人一人光るものを持ってる。
彼の場合は笑顔が光っていた。

鈴木
いいですねぇ。
その「一人一人光るものを持ってる」というお話。
僕も共感です。

右近
初めてマカルパインさんに出会った時、僕は暴力団に出入りしていたんだけれど、
偶然、街頭で声をかけられた時の彼の笑顔にすっかり魅せられた。
それ以来、マカルパインさんの笑顔を見るために毎週日曜日に教会に通った。

その当時、僕はヤクザだったからもちろんニコニコなんてしていられなかったよねー、

子分に「兄貴。月曜から土曜はヤクザ稼業、日曜はクリスチャンですから、オレたちは聖なるヤクザですね」
なんて言われたこともあったっけ(笑)。

鈴木
右近さんは、映画『親分はイエス様』をご存知ですか?

右近
ああ、もちろん見ましたよ。
あの映画の製作会社からは僕にたびたび出演依頼がありましてね。

鈴木
えっ、そうだったんですかー。

右近
でも断った。
僕はヤクザから足を洗った人間だからね。

(編集者補足)
映画『親分はイエス様』―誰だってもう一度やり直せるんだ!―
斎藤耕一監督 渡瀬恒彦、奥田瑛二出演。

鈴木
今、悩んでいる人たちに、
「生きてりゃいいことあるさ」的なメッセージをお願いできませんか。

右近
「コツコツ生きる」それが基本じゃないかなぁ。
あの横山やすしだって、売れるまで相当な苦労をして出てきた。
食えなくて西川きよしとラーメンを半分ずつ食べていた下積み時代がある。

それが、「俺が横山やすしや~」って言いながら舞台を往復するだけで
50万円をもらえる位の大物芸人になった。
今世の中で活躍している人もみんな、決して急に有名になったり大きくなった訳じゃない。

毎日コツコツとやり続けた結果そうなった。

だから、毎日コツコツやることがなによりの成功の秘訣。
いつもと同じように生活するってことが大事。

それと、自分ひとりじゃ成功しないってことも大事な事実じゃないかなぁ。
もちろん運だってある訳だけど。

便利屋を始めた頃に、感じたことは
「世の中の流れをよーく見なきゃ成功できんな」ってこと。

昔、ある社長さんに
「便利屋なんていう、そんな浮き草みたいな仕事はやめろ」
と言われたことがある。

それは例えて言うならば、
加茂川のほとりで、今日はこっち岸、明日は向こう岸、
あさっては真ん中に止まって・・・という商売。
お客さんも料金も決まっていない。

でもその時、僕はこう思ったね。
浮いていなかったら商売ダメなんじゃないかってね。

魚たちは浮き草に寄ってくるでしょ。
でも、あれがもし、浮き草が浮いてなくって腐ってしまったとしたら魚たちは寄って来ない。
魚は、浮いてる生きてる浮き草に集まり、根っこを食べているってこと。

「浮き草稼業」って言われて僕はかえって嬉しかったね。
川の流れに沿って、時代の流れを読んでという浮き草稼業。

鈴木
今まで多くの実力者に出会われてきたと思うんですが、
彼らに出会って考え、生き方、オーラを間近で見ることで、
自分自身が成長して、大きくなってきたという実感などはお持ちですか?

右近
それはあるだろうね。
例えば、ちゃんとした社長っていうのはくだらないことは話さないんだよね。

鈴木
それは、世の中をよーく見ているってことですか?

右近
そう。そーゆうことだよ!(右近さん、強い口調でニコニコと)

例えば、ブラジルに住む弟に会ってきてくれ、
という依頼をした人はすごいお金持ちなんだけど。

彼がなにをしているかっていうとだよ。
彼は毎日、役場に行くそうだ。
何をするかっていうと、
毎日、職員がしゃべっていることを聞いているそうだ。

例えば、3年先にどこそこに道路が出来るよーとか。
5年後にどこそこにインターチェンジが出来るよー、とか、って聞く。
すると、そのあたりの土地を買い占めるの。
それも出来るだけいっぱい。
それを聞いて、僕はおもしろいことをしているなーって思った。

鈴木
なるほど!それはすごくおもしろい話ですねぇ。
それでは、右近さんが今後、
そういった意味で話を聞きに行ったらいいんじゃないかと思うような場所はありませんか?

右近
それは、裁判所じゃないかな。簡易裁判所。
世の中の情報を仕入れるためには一番いい場所だと思う。

鈴木
右近さんから見て、いま世の中の流れをよく見てる方っておられますか?

右近
民主党の小川敏夫さんですね。
弁護士っていうのは勘が鋭いのかなぁ。

小野
右近さんは、便利屋を一生の仕事と思っていらっしゃいますか?

右近
便利屋の仕事ってのはなんでもいいわけ。
仕事だったら何でも引き受ける。
なんでもありだから、僕みたいな飽きっぽい人に向いている仕事。

鈴木
死ぬまでにこれはやりたいことはありますか?
または、行ってみたい国はありますか?

右近
そうだなぁ。
(ちなみに右近さんは以前の世界一周無銭旅行ですべての国を周ったので、
行ったことがない国はないそうです。凄いですね~!)

アンナプルナの山を登りたい。
それとアフリカのキリマンジャロを登ることかな。
でも足腰、気力が弱っているから登るのは難しいかもしれない。

鈴木
それこそ、体力に自信のある便利屋さんに依頼して、
右近さんを背負って登ってもらったらいいじゃないですかー(笑)

右近
僕なんか「憎らしい」って言われて、頂上についたらポイッて捨てられちゃうよ。

一同
(笑)

まだまだ面白いお話お聞きしたいのですが、今回のインタビューは後ろ髪をひかれますが、
このあたりで終わらせていただこうかと思います。
今回はお忙しいなか貴重なお話を聞かせていただき本当にありがとうございました!
今後、いろいろな面でお世話になることもあるかと思いますが、どうぞ宜しくお願いいたします。
ありがとうございました。

— おわり —

<今日の記録>
RUN:10km(2月累計95km 年間累計425km)
体重:84.7kg
体脂肪率:20.6%

<今日の食事>
朝:もやし入り焼きそば

昼:サンドイッチ+肉まん

夜:弁当+サンドイッチ


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この記事を書いた人

静岡県出身。東北大学工学部応用物理学科卒。
1993年アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)入社。大手会計システムの設計・開発・データ移行に携わる。同社戦略グループへ配属後、医療法人システム導入PJT、大手石油会社業務改革に従事。同社を退社後、個人で複数の中小企業を相手に経営診断、営業支援を実施した後、1998年(株)ベルハート入社。発信型テレマーケティングメソッドの開発・導入指導をしつつ、1999年Bell Heart Inex Le Corp.代表として台湾へ赴任。同事業黒字化の後、代表退任し帰国。

2000年(株)ラストリゾート入社。国内拠点、海外拠点の拡大に従事。同年、同社取締役。2002年、同社取締役事業本部長就任。2006年代表取締役に就任。2009年同社代表退任後、数々の新規事業、新会社設立に参画。コンサルティングや経営参画しつつ、多くのプロジェクトに足を突っ込む根っからのお節介。
生涯調達資金額が70億円を超える資金調達のスペシャリスト。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • こんにちは。
    記事を楽しく拝見させていただきました。ありがとうございました。
    ひとつ質問なんですが、
    下記の()の中は右近さんが言われたんですか?それとも服部さんが感じて補足されたのでしょうか?
    よろしくお願いいたします。

    右近
    それとねぇ、人は一週間に一度くらい神様(ある意味では
    「自分」とも言い換えられる)と向き合うことが
    大事じゃないかなぁって思う。

    • コメントありがとうございます。
      ご指摘の補足部分は、こちらの記事の出典元さんの方で
      追加されたようです。
      ご参考まで。

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