キャンプ生活二日目の夜中。
衝動を抑えられなくなり、
フィッツロイの手前の山に
一人でアタックする。
ほとんどブリザードに近い状態。
積雪はどんどんひどくなり
山頂に近づくころには、ひざ下位まで
雪に埋もれることに。
アイゼンもなく、
何ももたない体一つで
雪山に深夜一人の状態。
さらに登って来た道が、
雪で全くみえない状態に。
登ってきたはいいが、降りれない。
ただただ恐怖心だけが襲ってくる。
そんな状態に自分を置いてみると
生に対する執着心が実感できる。
ああ、自分も生きたいのだと。
恐怖心は肉体を強ばらせる。
まずは全身から声を出して
勇気を奮い立たせる。
その後、10分間静かに瞑想して、
恐怖心を自分から追い出す。
冷静に山肌をライトで照らしてみると
道は見えないが、案内ポストが点々と見える。
そのポストの案内だけをたよりに、崖に近い
雪道を足場もわからない状態で降りていく。
一歩踏み外せば命がない状態。
一歩一歩が重たくて、一瞬も気が抜けない。
生きていることと死んでいることの
境界線にいる状態を吹雪の中
2時間にわたり、心から味わってみる。
ああ、生きている。
今、生きている。
リアルにそう、感じられた瞬間だった。
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